断薬記 -私がうつ病の薬をやめた理由(上原 善広)
2020-05-17


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上原さんは双極性障害(躁うつ病)があって、精神科から多数の薬を出されてそれらを長期に内服していたそうです。
その間、3度も自殺未遂をしたそうです。
で、上原さんは、自分がいわば「薬中」のような状態になっていると判断し、減薬→断薬へと進んで行きます。
断薬したあともすぐには体調はすぐれず、結局10年がかりで元の状態に回復したそうです。

たしかに慢性疾患というのは、薬を飲み続けている限り、元の病気が治っているのか、そうでないのかの判断はかなり難しかったりします。
これは精神疾患に限らないでしょう。ただ、精神医療がほかの診療科と異なるのは、うつ病などの精神疾患は薬をうまく使わないと患者に自殺されてしまうという怖れがある点です。
現に上原さんも3回企てています。
精神科医はこれを非常に怖がるんですね。ま、当たり前のことです。
そうすると、うまくコントロールされている間は減薬はできても、断薬まではなかなか持って行けないのではないでしょうか。

結局、上原さんは自力で断薬するのですが、結果的にそれはうまくいったのですが、信頼できる主治医がその時点でいたわけですから、もう少し医療を信じても良かったように思えます。

また、本論と関係ありませんが、本書の中で、上原さんはノンフィクションに対する考え方を述べています。彼は、ノンフィクションを文芸と捉えているのですね。「路地の子」で批判されたことを気にしているのかもしれません。
精神医療に対する問題提起にはなっていましたが、僕には賛同できない部分もありました。
なかなか難しい問題ですね。
[本を読んだ]

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