ある末期がん患者のつぶやき(高地 哲夫)
2020-05-17


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かなり前に書かれた本ですが、FaceBookでこの本の存在を知り購入しました。
筆者は麻酔科医の高地先生。僕が麻酔科へ6カ月研修に行った時、麻酔を教わった先生です。

大変優秀な先生で周囲から一目置かれていました。
麻酔科で抄読会があった時、先生が海外文献を紹介しました。その文献にはデータを棒グラフで表してあったのですが、先生は「これでは分かりにくい」と言って、データを円グラフに作り直してプレゼンしていました。
こんなプレゼンがあるのかと、僕はびっくりしたのを今でも強烈に覚えています。

論文をよく読んでいて知識が豊富な先生でした。理詰めで理論を語るクールな先生でもありました。
ところがこの本を読むと、患者の利益を若い世代の麻酔科医に丁寧に伝えていて、胸に迫るものがあります。

先生は手術と放射線療法と疼痛緩和療法だけを受けて、抗がん剤治療は受けませんでした。
最期の瞬間は自宅だったそうです。
これからやりたいことが山ほどあったと思います。
その無念さを思うと読んでいて実に辛くなります。
だけど、こうして本を残して、若い世代にメッセージを伝えられたのは良かったのではないでしょうか。

先生、麻酔を教えて頂き、本当にありがとうございました。
[本を読んだ]

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