禺画像]
現在、ドキュメンタリー映画で大変ホットな大島監督の本です。大変おもしろく一気に読んでしまいました。
この本の最初の方で、プロデューサーとディレクターの関係性について書かれています。
これってまさにノンフィクションを書くときの、作家と編集者の関係と同じです。
必死になって作家は原稿を書きますが、編集者によって書き直しを命じられたり、まるごとボツにされたり。
そういう関係性がそっくりだと思いました。
この本の中で、大島監督は3人の映像作家について解説しています。是枝監督、森達也監督、原一男監督です。
言われてみれば、ぼくはこの3人の作品が好きで、そうかなるほど、ノンフィクション本が好きな人間はドキュメンタリー映画も好きなんだと、あたり前かもしれませんが、つくづくそう思いました。
ぼくはノンフィクションを書くときに、自分がビデオカメラを持っている気持ちで筆を進めます。読み手の眼前に、ぼくが見た世界の絵姿が浮かび上がるように書くのです。
だから、本を書く上で「人称」の問題は非常に重要で、ぼくには強い拘りがあります。
本の最後で原監督と大島監督の対談のことが書かれていました。映画『香川一区』で、小川淳也さんが当選したシーンを、原監督は、なぜマルチカメラで撮らなかったのかと疑問を呈していました。
ああ、なるほど。
大島監督は1台しか使っていません。これはノンフィクション文学で言えば、「一人称」で世界を見ているという視点になります。
大島監督も「一人称」にこだわったのだと思います。原さんは「神の視点=複数の3人称」でドキュメンタリーを作りたい人なのでしょう。
この本の文章には大島さんの人柄がよく出ていました。柔らかくて、腰が低いけど、自分の考えがしっかりと有って、謙虚な人だなと感じました。
今後ドキュメンタリー映画を目指す人・・・ではなく、すべての人に読んでほしいと思いました。
おススメします。