私の半分はどこから来たのか AID[非配偶者間人工授精]で生まれた子の苦悩(大野和基)
2022-11-25


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AID=非配偶者間人工授精について書いた本です。
筆者の大野さんは、10年以上をかけて世界を回ってこの本を仕上げました。
AID で生まれた子どもには、出自を知る権利があるのはまったくその通りだと思います。
ですが、そもそも、AID で誕生させられる子どもの人権って何だろうかって、ぼくは考えてしまうのです。

いや、こんな考え方は古いのかもしれませんが、精子・卵子提供で生まれた命、生まされた命って、親の欲から誕生した命なのではないでしょうか。
命とは、授かるもので、作るものではないというのがぼくの基本的な認識です。
子どもに恵まれない親の「どうしても子どもがほしい」という言葉を聞くたびに、それは何だか剥き出しのエゴに思えてならないのですよね。
保守的すぎますかね?

出自を知る権利がやっと世界的に認めらるようになってきたという時代の流れこそが、AID に無理があったことの証左だと思います。
最初はあまり深く考えずに始めてしまったというところが正解でしょう。その矛盾がだんだん露呈し、生まれた子どもが苦しむことになって、ようやく知る権利が確立したということです。

筆者は、LGBTQやシングルの人にも配偶子提供を保険適用すべきと主張しています。
なるほど、そうかもしれません。そういった方々を差別する理由はどこにもありません。
時代と共に家族の形は変化していくでしょう。
ぼくはそれに追いついていけるか、自分ではよく分かりません。

特別養子縁組ではなぜいけないのか?
AID で子どもが生まれ育ち、その過程で育ての父親はどう思っているのか?
アーティフィシャルな命については、これからも考えていきたいと思っています。

長い取材が実ってよかったですね。いい作品でした。おススメします。
[本を読んだ]

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