団地と移民 課題最先端「空間」の闘い(安田 浩一)
2019-06-05


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これは大変難しい本でした。
難しいというのは文章ではありません。
安田さんは文章が大変うまく、一気に読ませてしまう力があります。
それは本当に高く評価できると思います。
テーマもよく分かります。
多(他)民族の問題は筆者のライフワークですね。それを団地にフォーカスして書き上げた訳です。
しかし、何を描くことで、テーマに応えるか・・・そこは難しかったと思います。
日活ロマンポルノ『団地妻 昼下がりの情事』は、筆者も迷いながら書いたのではないでしょうか?
フランスの話も面白いのですが、全体の構成からすると少し収まりが悪いかもしれません。
ぼくの考えでは、たとえマンネリになっても、くり返し団地の荒廃と高齢化と移民の問題を積み重ねていけば、本に背骨みたいなものがはっきりしていくと思います。
敢えて、そういう形にはしなかったのだと思いますが、やはり1冊の単行本を完成させるのは難しいなと感じました。
いや、しかし団地をテーマにこれだけの文章を書けるだから、やはりそれは安田さんにしかできないかな・・・と感じました。
現在最も力のあるノンフィクション作家の作品です。
[本を読んだ]

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